不動産の使用料等の支払調書は、事業で土地や建物を借りている場合に、一定の条件を満たすと提出が求められる法定調書です。初めて作成する際は、提出対象の判断や家賃・更新料などの記載範囲で迷いやすい点もあります。本記事では、提出が必要となるケースや記載項目の考え方を整理し、作成時に押さえておきたいポイントを解説します。
目次
不動産の使用料等の支払調書とは、不動産や船舶などを借り受け、その対価を支払った場合に、適正な税務処理をするため税務署へ提出することが求められる法定調書の一つです。
同一の支払先に対し、その年中に支払の確定した金額(未払分を含む)の合計が15万円を超える場合に作成および提出義務が生じます。
提出基準の15万円は原則として消費税等を含めて判断しますが、消費税と地方消費税の額が明確に区分されている場合には、含めないで判断しても差し支えありません。
対象となるのは、不動産や不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶や航空機の借受けの対価、不動産の上に存する権利の設定の対価です。
なお、平成28(2016)年1月1日以後に支払が確定する分については、原則として支払を受ける個人のマイナンバーまたは法人番号の記載が必要です。
提出義務があるのは、不動産の使用料等を支払う法人と、不動産業者である個人です。ただし、個人の不動産業者でも、主として建物賃貸借の代理や仲介をする場合は対象ではありません。
また、法人への支払いでは、賃借料を除く権利金や更新料が提出対象です。そのため、家賃や賃借料のみを法人へ支払っている場合は、支払調書を提出する必要はありません。
不動産の使用料等には、土地や建物の賃借料だけでなく、契約内容や権利関係に応じて支払われる次の費用も含まれます。
また、催物の会場を借りる場合などの一時的な賃借料や、陳列ケースの賃借料、広告目的で塀や壁面など土地や建物の一部を使用する場合の賃借料についても、不動産の使用料等に該当します。これらの支払いがある場合は、支払調書の提出が必要です。
不動産の使用料等の支払調書は、年間の支払総額が15万円を上回った際に税務署へ提出しなければなりません。期限は、支払った年の翌年1月31日です。
社宅を想定した場合、届出が必要になる具体例は、以下のとおりです。
この調書を提出するのは、賃料等を支払う企業、すなわち賃借人側です。仮に2025年の1月から12月の期間中に保証金の支払いをしていた場合、その記録を記載した調書は2026年1月末日までに所轄の税務署に届け出る必要があります。
不動産の使用料のほか、不動産等の取引に関する支払調書には以下の2つがあります
不動産の売買・交換・競売等の取引において、その年中に同一の方に支払った金額が100万円を超えるものについて、作成し税務署へ提出します。※参考:「不動産等の譲受けの対価の支払調書」
不動産等の売買代金やあっせん手数料として、その年中に同一の方に支払った金額が15万円を超えるものについて、作成し税務署へ提出します。※参考:「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」
※国税庁|令和 年分 不動産の使用料等の支払調書を引用して加工
支払調書は、国税庁が定める様式を使用し記載します。なお、様式はA4用紙1枚に調書4枚分が印刷される形式となっているため、印刷後は裁断して使用します。
「支払を受ける者」欄には、調書作成日の現況における所有者や転貸人の住所・氏名などを契約書等で確認して正確に記載します。屋号のみの記載にならないよう注意しましょう。
番号欄には、法人は13桁の法人番号、個人は12桁のマイナンバーを記入します。マイナンバーを記載する際は、左端を空白にし、右詰めで記入してください。
なお、支払を受ける者に交付する支払調書の控えには、マイナンバーは記載できません。
「区分」欄には、地代、家賃、権利金、更新料、承諾料、名義書換料、船舶の使用料など、支払の内容に応じた種類を記載します。
「物件の所在地」欄には、支払の基礎となった物件の所在地を正確に記入してください。船舶または航空機については、船籍または航空機の登録をした機関の所在地を記載します。
「細目」欄には、土地の地目(宅地、田畑、山林等)や、建物の構造、用途などを具体的に記載してください。
「計算の基礎」欄には、その年中の賃借期間、単位(月、週、日、平方メートル等)当たりの賃借料、戸数、面積などを詳細に記載します。
「支払金額」欄には、その年中に支払の確定した金額を、未払分を含めて「区分」ごとの内容別に記載してください。実際に現金を支払ったかどうかにかかわらず、その年に支払の確定した金額をすべて記載する必要があります。
摘要欄には、地上権や賃借権などの設定による対価である場合に、その権利の存続期間を記入してください。
また、特定の条件で「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出を省略する場合は、この欄にあっせんをした人の住所、氏名、マイナンバーまたは法人番号、支払確定年月日、支払金額を記載します。
その際も、マイナンバーは左端を空白にし、右詰めで記入してください。
「支払者」欄には、不動産の使用料などを支払った者の住所、氏名または名称、電話番号、個人番号または法人番号を記載します。
法人の場合は法人番号、個人の場合はマイナンバーを正確に記入してください。個人の番号を記入する際は、他の項目と同様に左端を空白にし、右詰めで記載します。支払者の情報は税務署からの問い合わせ先にもなるため、正確に記入してください。
不動産関係の支払調書を作成する際は、支払先が法人か個人かを区分し、提出対象となる支払内容を正確に把握することが重要です。
不動産の使用料などには、月々の賃料だけでなく、催物会場の一時的な賃借料や建物の一部を使用する場合の賃借料も含まれ、金額基準を満たせば支払調書を作成しなければなりません。
また、社宅を運用している場合は、賃貸借契約の名義や支払ルートに注意し、支払先や家賃の全額を正確に管理しておくことが欠かせません。日ごろから契約内容と支払状況を整理しておくことで、調書作成をスムーズに進められます。
不動産の使用料等の支払調書は、支払先や金額によって提出が必要となる法定調書です。年間の支払額が15万円を超えるか、支払先が法人か個人かによって提出範囲が変わるため、自社の取引内容を正確に把握しておきましょう。
家賃や地代だけでなく、更新料や権利金、一時的な使用料なども対象です。契約書や支払記録を整理しながら記載内容を確認しましょう。マイナンバーや法人番号の取得漏れがあると作成が進まないため、日ごろから情報を管理しておくと安心です。
提出期限は翌年1月31日です。日々の支払状況を把握しておくことで、年末年始の慌ただしい時期でもスムーズに調書を作成できます。計画的に準備を進め、確実な申告につなげていきましょう。
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不動産の使用料等の支払調書は、事業で土地や建物を借りている場合に、一定の条件を満たすと提出が求められる法定調書です。初めて作成する際は、提出対象の判断や家賃・更新料などの記載範囲で迷いやすい点もあります。本記事では、提出が必要となるケースや記載項目の考え方を整理し、作成時に押さえておきたいポイントを解説します。
目次
「不動産の使用料等の支払調書」とは
不動産の使用料等の支払調書とは、不動産や船舶などを借り受け、その対価を支払った場合に、適正な税務処理をするため税務署へ提出することが求められる法定調書の一つです。
同一の支払先に対し、その年中に支払の確定した金額(未払分を含む)の合計が15万円を超える場合に作成および提出義務が生じます。
提出基準の15万円は原則として消費税等を含めて判断しますが、消費税と地方消費税の額が明確に区分されている場合には、含めないで判断しても差し支えありません。
対象となるのは、不動産や不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶や航空機の借受けの対価、不動産の上に存する権利の設定の対価です。
なお、平成28(2016)年1月1日以後に支払が確定する分については、原則として支払を受ける個人のマイナンバーまたは法人番号の記載が必要です。
提出義務がある人
提出義務があるのは、不動産の使用料等を支払う法人と、不動産業者である個人です。ただし、個人の不動産業者でも、主として建物賃貸借の代理や仲介をする場合は対象ではありません。
また、法人への支払いでは、賃借料を除く権利金や更新料が提出対象です。そのため、家賃や賃借料のみを法人へ支払っている場合は、支払調書を提出する必要はありません。
不動産の使用料に含まれる費用
不動産の使用料等には、土地や建物の賃借料だけでなく、契約内容や権利関係に応じて支払われる次の費用も含まれます。
また、催物の会場を借りる場合などの一時的な賃借料や、陳列ケースの賃借料、広告目的で塀や壁面など土地や建物の一部を使用する場合の賃借料についても、不動産の使用料等に該当します。これらの支払いがある場合は、支払調書の提出が必要です。
「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲と提出期限
不動産の使用料等の支払調書は、年間の支払総額が15万円を上回った際に税務署へ提出しなければなりません。期限は、支払った年の翌年1月31日です。
社宅を想定した場合、届出が必要になる具体例は、以下のとおりです。
この調書を提出するのは、賃料等を支払う企業、すなわち賃借人側です。仮に2025年の1月から12月の期間中に保証金の支払いをしていた場合、その記録を記載した調書は2026年1月末日までに所轄の税務署に届け出る必要があります。
その他、不動産に関する支払調書
不動産の使用料のほか、不動産等の取引に関する支払調書には以下の2つがあります
不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産の売買・交換・競売等の取引において、その年中に同一の方に支払った金額が100万円を超えるものについて、作成し税務署へ提出します。※参考:「不動産等の譲受けの対価の支払調書」
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産等の売買代金やあっせん手数料として、その年中に同一の方に支払った金額が15万円を超えるものについて、作成し税務署へ提出します。※参考:「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」
「不動産の使用料等の支払調書」の書き方
※国税庁|令和 年分 不動産の使用料等の支払調書を引用して加工
支払調書は、国税庁が定める様式を使用し記載します。なお、様式はA4用紙1枚に調書4枚分が印刷される形式となっているため、印刷後は裁断して使用します。
1.支払を受ける者
「支払を受ける者」欄には、調書作成日の現況における所有者や転貸人の住所・氏名などを契約書等で確認して正確に記載します。屋号のみの記載にならないよう注意しましょう。
番号欄には、法人は13桁の法人番号、個人は12桁のマイナンバーを記入します。マイナンバーを記載する際は、左端を空白にし、右詰めで記入してください。
なお、支払を受ける者に交付する支払調書の控えには、マイナンバーは記載できません。
2.区分・物件の所在地・細目
「区分」欄には、地代、家賃、権利金、更新料、承諾料、名義書換料、船舶の使用料など、支払の内容に応じた種類を記載します。
「物件の所在地」欄には、支払の基礎となった物件の所在地を正確に記入してください。船舶または航空機については、船籍または航空機の登録をした機関の所在地を記載します。
「細目」欄には、土地の地目(宅地、田畑、山林等)や、建物の構造、用途などを具体的に記載してください。
3.計算の基礎・支払金額
「計算の基礎」欄には、その年中の賃借期間、単位(月、週、日、平方メートル等)当たりの賃借料、戸数、面積などを詳細に記載します。
「支払金額」欄には、その年中に支払の確定した金額を、未払分を含めて「区分」ごとの内容別に記載してください。実際に現金を支払ったかどうかにかかわらず、その年に支払の確定した金額をすべて記載する必要があります。
4.摘要
摘要欄には、地上権や賃借権などの設定による対価である場合に、その権利の存続期間を記入してください。
また、特定の条件で「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出を省略する場合は、この欄にあっせんをした人の住所、氏名、マイナンバーまたは法人番号、支払確定年月日、支払金額を記載します。
その際も、マイナンバーは左端を空白にし、右詰めで記入してください。
5.支払者
「支払者」欄には、不動産の使用料などを支払った者の住所、氏名または名称、電話番号、個人番号または法人番号を記載します。
法人の場合は法人番号、個人の場合はマイナンバーを正確に記入してください。個人の番号を記入する際は、他の項目と同様に左端を空白にし、右詰めで記載します。支払者の情報は税務署からの問い合わせ先にもなるため、正確に記入してください。
不動産関係の支払調書を作成する際のポイント
不動産関係の支払調書を作成する際は、支払先が法人か個人かを区分し、提出対象となる支払内容を正確に把握することが重要です。
不動産の使用料などには、月々の賃料だけでなく、催物会場の一時的な賃借料や建物の一部を使用する場合の賃借料も含まれ、金額基準を満たせば支払調書を作成しなければなりません。
また、社宅を運用している場合は、賃貸借契約の名義や支払ルートに注意し、支払先や家賃の全額を正確に管理しておくことが欠かせません。日ごろから契約内容と支払状況を整理しておくことで、調書作成をスムーズに進められます。
「不動産の使用料等の支払調書」まとめ
不動産の使用料等の支払調書は、支払先や金額によって提出が必要となる法定調書です。年間の支払額が15万円を超えるか、支払先が法人か個人かによって提出範囲が変わるため、自社の取引内容を正確に把握しておきましょう。
家賃や地代だけでなく、更新料や権利金、一時的な使用料なども対象です。契約書や支払記録を整理しながら記載内容を確認しましょう。マイナンバーや法人番号の取得漏れがあると作成が進まないため、日ごろから情報を管理しておくと安心です。
提出期限は翌年1月31日です。日々の支払状況を把握しておくことで、年末年始の慌ただしい時期でもスムーズに調書を作成できます。計画的に準備を進め、確実な申告につなげていきましょう。